「営業」の仕事を検討している人の参考になれば幸いです。
目次
執筆者のプロフィール
職歴
私は3年ほど東京での仕事を経験したのち、Uターンで地元に帰りつつ新しい仕事として営業職として2年半ほど働きました。
この頃に仕事でミスが重なり発達障害を疑うようになり、会社に居づらくなり退職しました。
ADHDの傾向
私のADHDは不注意・うっかりミス・物忘れが強い傾向にあります。
しないといけないことが積み重なるとミスが出てきたり、チェック作業を行っても大量の抜け・漏れが発生してしまうことがよくあります。
営業職はこんな仕事
営業職は会社によって状況が様々かと思いますが「私の場合」ということで記載します。
ヘルメットや安全靴を工場などに販売する会社でしたので同じお客さんを何度も訪問するタイプの営業でした。いわゆる「ルート営業」というやつです。
「一日に○件客先を回る」「月の売上は○○万円」「売上達成率は〇〇%」みたいなものが設定されていて、いわゆる世の中の人が想像する営業職に近い感じだと思います。
上記のようにノルマはありましたが、達成できなかったからといって減給されたり恫喝されるようなことはありませんでした。
営業職の一日
営業職の一日はこんな感じです。
AM
07:30 起床
08:00 家を出る
08:30 会社到着→朝礼
08:40 打ち合わせの為の資料確認
10:00 お客さんのところへ移動
10:30 打ち合わせ(3社くらい回る)
12:00 昼休憩
PM
13:00 打ち合わせ(5社くらい回る)
16:30 会社へ戻る→ちょっと休憩
17:00 各種見積もり依頼へ対応
19:00 翌日の打ち合わせ用資料を作成
21:00 営業会議資料の作成
22:30 日報
23:00 会社を出る
23:30 帰宅
24:00 就寝
私は能力が低いため、見積りを作成したり会議資料を作成するのに時間が掛かってしまい、やや遅めの時間まで仕事をしていることが多かったです。
ただ、営業職の一日は本当に会社によって全く状況が変わってくるので一般的なスケジュールとは言えないかもしれません。
ADHDに不向きな点
以下の点はADHDの人にとって営業職が不向きだと感じる点です。
お客さんの数が多い
これも「私の場合」の話になりますが、私の受け持つお客さんは60社くらいいました。
各担当者や今納品している商品など、記憶に不安定さがある私には覚えることができず最初のうちはかなり苦戦しました。
運転が必要だが事故の確率は高い
都会は関係ありませんが、地方の営業マンは必ず自分で車を運転することになると思います。
しかしADHDの人が交通事故を起こす確率は定型発達の人に比べて1.5倍程度高いとされています。
運転が増えれば事故を引き起こすリスクは必然的に高くなります。
対物の事故であれば会社の保険で解決できますが人的な事故の責任までは会社は背負ってくれません。
道が覚えられない
車を運転して客先を訪問しますので道を覚える必要があります。
持ち前の記憶力の悪さのお陰で何度道を通っても覚えることができず頻繁に道に迷っていました。
結果的にお客さんとの約束の時間に遅れたり、同乗している上司に呆れられたり怒られたりしました。
スマホのナビを使ったりして対策したりもするのですがいつも上手く目的地にたどり着けるとは限りませんでした。
そこそこマルチタスク
お客さんを訪問すると「今度サンプルを持って来てよ~◎」→「分かりました!見積もりと合わせてお持ちしますね!」なんていう話になることが多いです。
この時することは
- サンプルの手配
- 見積書の作成
- 上司に見積り価格の承認を得る
- 次回打ち合わせのアポイント取り
といった具合にちょっとしたことでも案外しないといけないことは多いものです。
ノルマの1日8件の客先訪問をすればそこそこの分量の仕事になってくれます。
更に外出中に問い合わせが5件くらい入っていることもザラにあるので…もうおわかりですね(汗)
そういう会社ですとADHDの人がより働きやすい環境が整っているかもしれません。
工夫していた点
お客さんの情報については覚えることが多かったので常に「顧客のカルテ」のようなものをプリントアウトして営業車の中に置いていました。
名刺入れやネクタイなども忘れることが多かったので車の中に予備を準備して慌てることがないように対策をしていました。
ここを克服すればうまくやれる可能性あり
同じADHDの方でも記憶力に問題がない方は上手く職務を全うできる可能性が高いです。
お客さんに依頼されたことを放置したり忘れたりする以外の失敗はある程度どうにかなるので、創意工夫でヌケ・モレを防止できれば致命傷は負いにくいです。
営業職の良い点
営業ノルマを達成していれば何も言われないというのは本当で、実際に多くの営業職はそのような環境にあると思います。
仕事がデキる人ならば自由の多い(自分の裁量で決められる)職種といえます。
また、人と話すのが好きな人は比較的楽しく過ごせます◎
私の場合、気の合うお客さんのところでゆっくりしていることが多かったです。
あなたは営業職が合うADHD?合わないADHD?
ということで営業職との相性を羅列します。
営業職が合うタイプのADHD
営業職が合うのはこんなタイプのADHDです。
- コミュニケーションがある程度取れる
- 人に好かれやすい
- 記憶力が程々に良い
- 運転が極端にヘタではない
- 売上などの数字を上げるための工夫ができる
- ある程度ストレス耐性がある
営業職が合わないタイプのADHD
逆にこういうタイプのADHDの人は営業職に就かない方が幸せになれます。
- コミュニケーションを取ることが苦手で頻繁に認識違いをする
- 単純作業が好きで創意工夫の余地がない仕事が好き
- ストレスに弱く、客先や上司から叱られると激しく落ち込む
ADHDが就く職業としてのおすすめ具合
先で説明したようにADHDと営業職の相性は良い場合が多いです。私が経験した3つの職種の中でもっとも「仕事が楽しい」と思えた営業職でした。
特に重要視されるのはコミュニケーション能力ですが、営業として使い物にならないコミュニケーション能力しかないのであれば、面接で落とされるのでそんなに心配しなくて大丈夫です。
自分の特性や今までの傾向を省みて「合っている」と感じたなら相性が良いということだと思います。
営業職を目指す人へのアドバイス
この記事を読んで営業職への転職を検討してみたいと思った方は以下の3つ点に注意して転職活動を進めて欲しいと思います。
バラつきが激しいのでしっかり会社を選ぼう
営業の仕事は会社によって待遇が全く異なります。
ノルマがあって達成できなかったら激しく罵倒されるような営業職もあれば、御用聞きのようにお客さんのところに顔を出して注文を受けるだけというタイプの営業職もあります。
もちろん前者になれば発達障害者は「即死」ですね(汗)
新規開拓よりもルート営業がおすすめ
基本的に新規開拓の営業職よりもルート回りの営業職の方が発達障害者に合っていると思います。
新規開拓の営業職の魅力は歩合制のところが多く、売上を上げまくれば会社から評価されるし高給取りになれます。一方で売上が上げられなければ他の職種以上に「お荷物」として扱われる傾向があります。
新規開拓系の営業職
- コピー機のリース
- 保険の契約
- ひかり回線の契約 etc…
ルート系の営業職
- 病院の白衣やシーツのクリーニング
- 工場の消耗品の販売
- ヤクルトさん
新規開拓に比べると既存顧客のルート営業の仕事はノルマを激しく問い詰められない傾向があると思います。一方で大きな契約を新規で受注しても大きく給料に反映されることはありません。どちらかというと守りの営業です。
人間関係を築くことろまでが大変ですが、最初をしっかりと頑張ればあとはある程度力を抜いて仕事をすることができる会社も多いハズです。
自信を持って売れる商品がある会社を選ぼう
当然ですが営業という仕事は基本的に自分の会社で取り扱っている商品しかうれません。個人にどんなに誠意があろうと、会社が「持っているだけで幸せになれる黄色い財布」しか取り扱っていなかったらそれを売るしかありません。
商品自体に興味は無くても良いと思います。しかし良心の呵責に耐えられないような商品しか取り扱っていない会社を選んではいけません。すぐに辞めることになります。
なるべくならこういうことをさせられない会社を見つけたいところです。
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応募を検討している企業のホームページをしっかりと見ることも大切ですが、会社の闇の部分の情報はなかなか見つけられるものではありません。
キャリコネを活用すれば企業の従業員や退職者が様々なコメントから企業の社風や制度を事前に知ることができできます。
企業側の良いことしか書いていない情報に振り回されないようにするため、事前に情報を得ることは発達障害者にとって非常に大切なことです。
また、サイト内では転職サイト大手16社の求人情報を一括検索することができますので実質他の求人サイトに登録する必要性はなくなります。
利用条件
- 転職を検討中の人