ADHDと診断されそれを受け入れるということは普通の人よりも劣っている部分があるということを認めるということです。それはとても勇気のいることです。
まして自分ではなく、自分の子供がADHD(またはその他の発達障害)であるということは非常に認めがたいものです。私たち夫婦も息子が発達障害と診断されたときそれを認めたくない気持ちになりました。(私自身がADHDと診断された時は開き直ってましたが(´・ω・`))
しかし認めようが認めまいが発達障害の症状は生活に影響を及ぼします。親(あるいは自分)が認めなくても実際に困るのはADHDの当事者なのです。
目次
メリット1:今までの自分を肯定できる
大人のADHDの場合は既に社会生活で困りごとが発生して病院で受診しADHDの診断が下っている人がほとんどだと思います。
私は不注意によるミスが非常に多く、会社の看板に泥を塗るほどの失敗を繰り返し会社にいられなくなり4度の退職を経験しました。
自分は普通の人より出来ない
自分は普通の人より根性がない
自分は普通の人より気が使えない
自分は普通の人より…
ずーっと悩んできた普通の人との差は脳の機能障害から生まれるものだと知った時に「あぁ、僕の努力が足りないんじゃなかったんだ。」と思えました。自分を縛っていた鎖から解放された気分でした。
だからといって自分にできることが変わるわけではないのですが、それでも気持ちがとても楽になったのを覚えています。
メリット2:ミスに対する対策が打てる
大人のADHD対策
自分がどういう失敗をするのかを明確に認識することによって対策を打てるようになります。
例えば約束の時間によく遅れてしまう傾向があるとします。診断が無くなんとなく困っている程度だったら「早く出るようにしよう」という対策しかしないと思います。しかし診断が付いていろいろ学んでいくうちに「約束の時間に遅れないように約束場所の近くの銀行に行く予定を入れよう。もし遅れて銀行は行けなくなっても約束の時間には間に合うよ。」というふうに具体的な対策を知り実行できるようになります。
また、自分がADHDであると分かればどのようなミスをするのかを会社に伝えることで周りにフォローして貰える体制を作って貰える場合があります。
- チェック業務が苦手なので他の人に二重チェックをしてもらう
- マルチタスクが苦手なので、仕事はひとつが終わったら次の物を与えてもらう
などの対応をして貰えれば随分と働きやすくなるでしょう。
子供のADHD対策
子供であれば幼稚園に行く替わりに「療育」へ通い、幼稚園では教えて貰えないADHD(発達障害)ならではの対策・対応方法を学習・訓練することもできます。
先に述べたように、私も当初は息子のADHDを受け入れられなかった者のひとりです。診断が下ったあとも普通の幼稚園に通わせるか、療育に通わせるかを散々迷いました。結果的には療育へ通わせるのですが、この判断は非常に正しかったと感じています。
療育では普通の幼稚園では教わらないような発達障害ならではの訓練をたくさんすることができました。お陰で落ち着いて椅子に座ることやスケジュールを確認して行動するなどの能力は大きく伸びたと感じています。
メリット3:長所を生かす努力ができる
出来ないことを出来るようにする努力は大切です。しかし、どんなに頑張っても人並みに出来るようにならないことも存在します。
出来ないことを出来るようにするというのは非常に力が必要です。自転車のペダルと同じで止まっている自転車を漕ぎ始めるのは労力がいることです。
私は高校生のころ英語が全くできず、どうにかしようと重点的に勉強をしましたが結局全くものになりませんでした。もし学生時代から自分がADHDと知っていて、その特性から英語が不向きであることを知っていたら得意な理科や数学にもっと力を入れていたと思います。
学校のテストは100点が限界ですが、社会では点数の上限など存在しません。企業では全てが50点の人よりもひとつの能力が200点の人間の方が重宝されます。(もちろん全てが80点取れるならそれに越したことはありませんが私たちADHDはそんなことはできないし、できないからこそADHDと診断されている)
ADHDの診断が下ったことで出来ないことをある程度割り切り、得意とする能力を存分に生かすように舵をきることができました。
メリット4:コンサータやストラテラなどの薬による治療ができる
ADHDの診断が下ることでコンサータやストラテラといった薬による治療を受けることが出来るようになります。
薬は脳内のセロトニンという物質をうんちゃらかんちゃら…とにかく頭のモヤモヤが取れるような感覚がある…そうです。(断定しないのは私が治療を始めたばかりでまだあまり薬の効果を感じていないから)
治療薬は人によって相性があるようで、効き方も様々。私の場合はストラテラは全く効果が表れず、コンサータで少し効果を感じ始めています。人によっては「今までの人生はなんだったのか!」「普通の人はこんな感覚の中で生きていたのか!」と感じるほどに効果が現れることがあるそうです。
結果的に診断が付いて良かった
診断が下ったことによるデメリットははっきり言ってほとんどありません。唯一あるとすれば生命保険に入れなくなることくらいでしょうか。(気にする人は世間体など気にするかもしれませんが…)
先に挙げたように私はADHDと診断されて様々なメリットを感じることができました。
診断を受け入れることは人によっては勇気がいることかもしれませんが、そのメリットもたくさんあります。
診断下った時はそれを受けれて前を向くための参考としていただけると幸いです。